1. 教育の「属人化」を防ぐ
概要:経験や勘頼みから、客観的データへ。
学生募集が厳しさを増す中、一人ひとりの学生を確実に育成する責任は、ますます重くなっています。
一方で、教育の現場では、教員それぞれの臨床経験や価値観に基づいた指導が行われがちです。もちろん、その経験は貴重な財産です。
しかし、指導法が「属人化」しすぎると、ある教員の下では順調だった学生が、別の場面ではつまずく、といった事態も起こり得ます。また、「ついてこられない学生が悪い」といった考え方にも繋がりかねません。
これからの教育には、個々の教員の経験則だけでなく、客観的な「データ」に基づくアプローチが不可欠です。
学生の日々の学習状況、実習の評価、面談の記録。これらのデータを客観的な事実として捉え、指導の根拠とすること。それが、教育の質を平準化し、底上げする第一歩だと考えています。
2. 「宝の持ち腐れ」データ
概要:使える情報が、使われないままに。
多くの学校では、学生に関する様々なデータが日々生まれています。成績、出席状況、実習の所見、健康診断の結果、面談記録など。
しかし、それらの貴重な情報が、各教員のPCや紙のファイルに「点在」していないでしょうか。
例えば、A教員が知っている「学生の悩み」を、B教員が知らないまま指導してしまったり。C教員が記録した「実習での強み」が、就職担当のD教員に共有されなかったり。
これらはすべて、データが「連係」していないために起こる機会損失です。情報はそこにあるのに、必要な時に必要な人へ届かない。まさに「宝の持ち腐れ」状態です。
せっかく取得したデータを、特定の教員だけのものにしておくのは、あまりにもったいない。情報は共有されてこそ、その価値を最大化できるはずです。
3. 学生の全体像を把握する
概要:多角的な視点で、最適な指導を。
データ連係の最大の目的は、学生の「全体像」を多角的に把握することです。
学習面では優秀でも、実習先でのコミュニケーションに課題を抱えている学生。 普段は控えめでも、特定の分野で並外れた集中力を見せる学生。
こうした学生の多面的な姿は、一人の教員の視点だけでは捉えきれません。
成績データ、実習評価、面談記録、課外活動の様子。これらが一つのプラットフォームで連係・共有されていればどうでしょう。
教員全員が、学生の「強み」も「弱み」も、その「背景」も理解した上で、一貫性のある指導(=個別最適化学習)を行えるようになります。
ある教員が入力した小さな気づきが、別の教員の指導のヒントになる。データ連係は、教員間の「横の連携」を強力にサポートし、チームとしての教育力を高めます。
4. 「集める」から「活かす」
概要:蓄積データが、新たな教育価値を生む。
データを連係させる仕組みを整えることは、ゴールではありません。それは「スタート」です。
まずは、日々の業務の中で、無理なくデータを「集める」こと。 私たちのソフトウェアは、その「取得」と「共有」を効率化するために設計されています。
そして、集まったデータを「どう活かすか」。
例えば、特定の科目でつまずく学生の共通パターンを見つけ出し、カリキュラム改善に役立てる。 卒業生の就職先データと在学中の成績を分析し、より精度の高い進路指導を行う。 国家試験の結果と、過去の実習評価の相関関係を探る。
今はまだ「何かに使えるはずだ」という段階かもしれません。しかし、データを一元管理し、蓄積し続けることで、将来的に分析・活用できるアイデアは無限に広がります。
まずは「取れる情報を、確実に連係させる」。その基盤づくりが、未来の教育資産を築くことにつながります。
